「邪魔は許さない」ゲイツ徹底抗戦の論理

執筆者:梅田望夫 2000年5月号
カテゴリ: IT・メディア

 大揺れに揺れた四月であった。 米独禁法違反訴訟でマイクロソフト敗訴の判決(三日)が下された直後に米株式市場の乱高下が始まり(四日)、その十日後にはダウ平均、ナスダック総合指数ともに史上最大の下げ幅を記録する暴落相場となった(十四日)。そして何とか株式市場に落ち着きが戻った月末、今度はマイクロソフト分割請求が原告側・米司法省からワシントン連邦地裁に提出された(二十八日)。 この流れの中で、私がいちばん面白かったのは、分割請求に対するビル・ゲイツの過剰に攻撃的な反応だった。「マイクロソフトをOS会社とアプリケーション会社に二分割せよ」という「求刑」に対して、ゲイツの第一声は「It's disturbing.」という強い言葉であった。「邪魔は許さんぞ」という感じのこの表現の後に、「分割請求はハイテク産業全体のイノベーションを阻害するゆえ、最終的にハイテク産業と消費者の両方に大きなダメージを与えるに違いない」という考え方を表明し、分割請求に対する徹底抗戦の意志を明らかにした。ゲイツの本心については本連載の九九年十二号と二〇〇〇年三号で詳述したので重複は避けるが、ゲイツは心から信じていることを、正直に表現したのだと思う。

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執筆者プロフィール
梅田望夫 1960年東京都生れ。94年渡米、97年コンサルティング会社ミューズ・アソシエイツを起業。著書に『ウェブ進化論』(ちくま新書)、『ウェブ時代をゆく』(同)、『ウェブ時代 5つの定理』(文藝春秋)、『ウェブ人間論』(共著、新潮新書)など。メジャーリーグの野球、そして将棋の熱烈なファン。
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