インテリジェンス・ナウ
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金大中大統領北朝鮮コネクションの謎

春名幹男
執筆者:春名幹男 2000年7月号
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島

 韓国大統領、金大中氏が二十七年前の一九七三年八月八日、東京のホテル・グランドパレスから拉致された事件は今では、夢のかなたの出来事のようだ。あの金大中氏が長年の念願だった大統領に就任し、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日総書記と、初めて南北首脳会談を行うとは……。「今でも、ひとつどうしても理解できないことがあるんですよ」と言って、在京情報筋が教えてくれたのが、拉致事件の六日前の同月二日に、東京のある新聞記者が都内のホテルで金大中氏に会見した時の経緯だ。「実はこの記者は金大中氏と会うために在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に電話してアポイントメントを取ったというんです」と同情報筋はそう話してくれた。実は、銀座第一ホテルで行われたこの会見で、金大中氏は韓国中央情報部(KCIA)の金東雲一等書記官に所在を確認され、その結果、拉致されてしまったのである。「理解できない」というのは、「反共」のはずの金大中氏が、なぜ朝鮮総連をパイプにして日本の記者と会ったのか、だ。 可能性としては、(1)当時“浪人中”で反朴正熙大統領だった金大中氏に、朝鮮総連の方から接近して、この記者との会見をセットした、(2)金大中氏と朝鮮総連の間にすでに何らかの秘密の関係があった――などが考えられる。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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