クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?
クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

喋って笑うくらいなら

徳岡孝夫
執筆者:徳岡孝夫 2000年7月号
カテゴリ: 国際 社会
エリア: 朝鮮半島 日本

 生きれつき疑り深い男の言うことだから、割り引いて聞いていただきたい。私はオスロのノルウェー議事堂周辺を、忙しそうに右往左往するコリアン紳士の姿が見えるような気がする。どうかすると、彼らの内ポケットの中の分厚い小切手帳まで見える。ははあ、金大中大統領に今年のノーベル平和賞を取らせるロビー活動だなと思う。 もう少し視力のいい人なら、南と北の金・金ダブル授賞への工作まで見えるかもしれないが、私にはそこまでの視力はない。どっちにせよ、元の大統領二人が逮捕されて天文学的蓄財が露見し、厳刑を宣告されたと思ったらすぐ出てくる国のことだ。日本人の常識外のことくらい平気かもしれない。 南北コリア首脳会談後のソウルは、凄い金正日ブームだそうである。ニューヨーク・タイムズのニュースサービスは、ある屋台店での口喧嘩を報じている。 ブームに便乗して「金正日サングラス」(レンズが淡い黒色)を売るオッサンがいた。通りかかったオバサン(63歳)が「あんなヤツと同じ眼鏡をかけて何がうれしい。テレビカメラの前で演技しただけじゃないの」と罵った。すると眼鏡売りのオッサンは「南北間の恐怖と緊張が、それだけ緩むじゃないか」と怒鳴り返したという。

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執筆者プロフィール
徳岡孝夫
徳岡孝夫 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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