変らぬレバノンの「宗派のパッチワーク」

執筆者:立山良司 2000年8月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: 中東

 十三年ぶりに訪れたレバノンはすっかり変っていた。瓦礫の山だったベイルートのスポーツスタジアムは十月に開催されるサッカーのアジア・カップに備え新しくなっていたし、海岸には豪華なオフィスビルやホテルが立ち並んでいた。だが、ちょっと視点をずらすと内戦の爪あとがあちこちに残っていたし、繁栄の陰に宗教・宗派間の憎悪や不信感が潜んでいた。 レバノンには主要宗派だけでも十八あるといわれる。東西交通の十字路に位置するこの地域は古来様々な勢力の邂逅の地であり、レバノン山脈の深い谷は迫害を逃れた少数宗派に絶好の隠れ家を提供してきた。さらに第一次世界大戦後にこの一帯を支配したフランスが人工的に国境をひいた結果、宗教と宗派がパッチワーク状に入り組んだ現在のレバノンが誕生したのである。

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