競争原理導入が生んだ雪印事件

2000年9月号
エリア: 日本

はき違えられた「大企業病克服」 一万五千人という世界的に見ても空前の数の被害者を出した雪印乳業大阪工場(大阪市都島区)製の乳製品による食中毒事件。大阪府警による本社などへの家宅捜索に続き、九月八日には毒素の検出された原料の脱脂粉乳を製造した同社大樹工場(北海道大樹町)の現場検証も始まり、業務上過失傷害容疑で刑事事件としての立件が時間の問題となっている。 七月の売上高は、前年同月比で七六・七%の減少。七月十一日には全国二十一工場の市乳生産を停止し、四―七月の経常損益は前年同期の三十六億円の黒字から、百八億円の赤字を記録した。八月以降も、関西地方を中心に消費者の雪印離れが進んだため、二〇〇一年三月期は通期で三百億円の赤字に転落すると予想されている。 ただ、株式市場はいまだに事件の影響を見極められずにいる。事件が発覚した六月二十七日の前の週には、ヨーグルトや市乳類の好調をうけて、雪印の株価は六一九円と年初来最高値を記録していた。その株価は工場の操業停止が決まった直後こそ三七一円まで下げたものの、その後は回復基調を示し、九月初旬は四〇〇円台で安定している。森永乳業が二〇〇円台、業界二位の明治乳業でも四〇〇円台後半なのと比べれば、決して極端な低水準まで落ち込んだわけではない。

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