世襲化するアメリカ政治

執筆者:ルイーズ・ブランソン 2000年9月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

政治を「家業」とする「名門」がアメリカにも生まれている。奇しくも今年の大統領選は政治家一族同士の一騎打ちとなった。「平等」を標榜するアメリカ社会における政治的名門の台頭とは、いったい何を意味するのか。[ワシントン発]「ダブリュ! ダブリュ!」。テキサス州オースティンの会場に集まった筋金入りの共和党員は、ホワイトハウス入りをめざすテキサス州知事、ジョージ・W・ブッシュの登場を待ちかねて一斉に声を上げた。 ミドルネーム「W」の愛称で呼ばれるブッシュが満面に笑みを浮かべ、大きく手を振り、頭上で両手を結びながら壇上に現われた。スピーチは熱い歓声で何度も中断したが、とりわけ観衆が沸いたのは、彼が父親のジョージ・ブッシュ前大統領と母親のバーバラについて、誇らしげに語ったときだ。「両親の選択という点では、私はまさに最高の仕事を成し遂げた!」。 これはライバル候補のアル・ゴア副大統領の発言をなぞったものだ。ゴアは地元テネシー州に遊説した際、父親の故アルバート・ゴア上院議員を引き合いに出し、「もし父がこの場にいれば、どれほど喜んだことでしょう」と語り、万雷の拍手を誘った。 この二つの場面は、今回の大統領選の特徴を雄弁に物語る。この選挙は、二つの強力な政治家一族の子弟の一騎打ちだということだ。しかも両家は二人の他にも若い人材を抱えており、二十一世紀には、ケネディ一族にも似た存在に飛躍する可能性を秘めた名門なのである。

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執筆者プロフィール
ルイーズ・ブランソン イギリス出身。英『サンデー・タイムズ』紙モスクワ支局長を経てフリーランスに。米『ワシントン・ポスト』紙元モスクワ支局長で夫のダスコ・ドーダー氏との共著に『ミハイル・ゴルバチョフ』『ミロシェビッチ――暴君のポートレイト』がある。
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