天皇訪韓をめぐる外務省と宮内庁のかけひき

2000年10月号
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 朝鮮半島 日本

 天皇陛下の歴史的な韓国訪問をめぐり、外務省と宮内庁サイドの思惑にずれが生じている。日本の大衆文化の段階的開放に踏み切った金大中政権は、二〇〇二年のサッカーのワールドカップを日韓が共催する機会を利用して、天皇訪韓も一気に実現、日本が韓国を植民地支配した戦前の歴史の総決算とするべきだとの考えで、日本外務省も天皇訪韓には前向きとされる。 だが、具体的な訪韓時期については、宮内庁の慎重な姿勢もあり、現状では政府の姿勢が一定の方向にまとまる情勢にはない。 宮内庁サイドの見方では、天皇訪韓となれば、当然、韓国国民に天皇が植民地支配や強制連行に対する事実上の謝罪をしなければ収まらない。「スポーツイベントのついでに行って、日韓の過去に対する遺憾の意など表明できるものではない」(宮内庁関係者)との声が根強いという。また、植民地支配に対する抗議の自殺でも起きようものなら、せっかくの訪韓に深い傷がつく。英国訪問の際に、日本軍の捕虜となった元英兵が馬車に背を向けた抗議とは衝撃度が違うというのだ。次の宮内庁長官人事が、訪韓実現の行方を占う材料となる。

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