“市場のカジノ化”が生む石油危機

執筆者:小西太 2000年10月号

その根底にあるのは、OPEC、メジャー、G7の弱体化[ロンドン発]新たな石油危機が世界経済の土台をゆっくりと侵食している。九月にはフランス、イギリス、オランダ、イタリアなど欧州各国で石油製品価格高騰への抗議行動が一気に広がり、イギリスではトラック運転手たちが製油所を封鎖する騒動に発展した。石油輸出国機構(OPEC)による今年三度の増産と米国による戦略石油備蓄(SPR)放出にもかかわらず、原油価格は一九九〇年の湾岸戦争以来、十年ぶりの高値となる一バレル三〇ドル台を超え続けている。過去三度の石油危機は戦場に端を発したが、今回の震源地は市場だ。「原油市場のカジノ化」を招いたのは、市場の三大パワーであるOPEC、メジャー(国際石油資本)、G7(主要七カ国)の弱体化だ。 九月二十七日、南米ベネズエラの首都カラカスで第二回OPEC首脳会議(サミット)が開幕、OPECの首脳が二十五年ぶりに集結、OPECの結束を強め、原油市場の安定化について先進国と対等の立場で対話していく方針を打ち出した。おりしもOPECサミット開幕の前週、長引く原油高騰に痺れを切らした米国は、三千万バレルのSPR放出を決定した。OPEC頼みで原油価格の抑制を狙ってきた米国が、SPRという切り札を出して市場に介入したわけだ。

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