司法と政治のギャップを浮き彫りにした大和銀判決

執筆者:矢吹信 2000年10月号
カテゴリ: 社会
エリア: 日本

 一九九五年に表面化した大和銀行ニューヨーク支店の不正取引事件を巡る株主代表訴訟で、九月二十日、同行の当時の取締役らに総額約八百億円の損害賠償の支払いを命じる判決が大阪地方裁判所で出た。司法は大和銀行を「放漫経営だった」と断じたわけだが、与党や政府内部では、「あまりに法外な賠償だ」と株主代表訴訟制度を見直す動きが一挙に加速し始めた。法曹関係者の多くはこの判決を「当然」と受け止めているが、世論の鏡である政治はそうは見ていない。このギャップはどこから生じているのだろうか。復活した自民案「代表訴訟は株式会社がうまく機能し、自由主義経済が動くための制度。自由主義社会を否定する人の意見は聞く必要はない」。九月二十七日、与党商法改正プロジェクトチームの初会合が都内で開かれ、自民党で商法を担当する太田誠一氏はこう声を荒らげた。与党チームでは経団連、通産省、弁護士などの専門家を呼び、国内での代表訴訟の現状や海外法制などの研究を進めたうえ、代表訴訟を見直す商法改正案を来年の通常国会に提出することを目指している。 与党の議論のたたき台となるのが自民党が既に機関決定している「企業統治に関する商法等の改正案要綱」。自民党では九七年五月から代表訴訟制度の見直し議論を進めており、「改正案要綱」の内容自体は九八年四月に固まっている。そしてこの要綱は昨年四月と今年九月二十二日にも自民党政務調査会商法小委員会で重ねて了承された。

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