米ハイテク産業「楽観の終焉」

執筆者:香川健吾 2000年11月号
エリア: 北米

衰えたニューエコノミーの神通力[ニューヨーク発]米証券市場の関係者は、今年夏から十月にかけて目も回るような忙しさだったに違いない。有力ハイテク企業が決算数字や決算の修正を発表するたびに市場にショックが走り、それがナスダック指数を大幅に引き下げる展開が繰り返された。インテルの業績下方修正を皮切りに、株価下落をもたらすアンチ・ヒーローが毎日のように登場した。アップル、IBM、AT&T、ワールドコム、ルーセント、ヤフー、モトローラ、プライスライン――。マイクロソフトとAOLを例外として、ほぼすべての有力ハイテク株が弱気相場の標的になった。 こうした企業の決算には一つの特徴がある。「成長率が市場の期待を下回った」という理由で売り込まれたのだ。その典型が光通信システムの世界最大手、カナダのノーテル・ネットワークスだろう。同社が十月二十四日の株式市場終了後に発表した七―九月期決算は、売上高が前年同期比四二%増の七十三億米ドル、実質純利益が同八三%増の五億七千万米ドルの高成長。 ところが、翌日の市場でノーテル株は三割近い「暴落」に見舞われた。市場は「ノーテルの光通信関連システムは年率一〇〇%以上で成長する」と期待していたが、ふたを開けると九〇%の伸びにとどまり、それが失望売りを誘ったのだ。ノーテルに引きずられる格好で、「米国の光銘柄」であるJDSユニフェイズやコーニングなども軒並み安になり、この日のナスダック指数は一九〇ポイント、率にして六%の大幅下げで幕引きした。

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