大統領選の「混乱」はアメリカ衰退の兆し

2000年11月号
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

 すべてが異例ずくめ、何とも後味の悪い展開となったものである。 20世紀最後の政治的大イベント、アメリカの大統領選は、史上空前の大接戦の末、開票後すぐには勝者が決まらず、勝敗の行方を握ることになったフロリダ州の投票の「再集計」という異常事態に至った。しかも、その結果も327票という僅差だったため、海外在住の不在者投票分(約3000人)の集計を待たなくてはならず、最終的な結果が出るのは11月18日頃と見られている(11月12日現在の推定)。 アメリカ国民は、11月7日の投票日から約10日もの間、次期最高権力者が決まらないという、精神的に宙ぶらりんな「大空位状態」に置かれたわけだ。この間、数多くの選挙の不正が囁かれ、制度上の不備・欠陥も露呈した。フロリダ州での「再集計」には、ブッシュ、ゴアの両陣営が「選挙監視団」を送り込み、「発展途上国並みの選挙」と揶揄される不名誉な展開となった。 これが冷戦終結後唯一の超大国、世界最大の先進国を誇るアメリカで起こったことか、と誰もが思ったに違いない。アメリカ国民自身の憤懣、苛立ち、不満、不安はいかばかりであろうか。 さらに、仮に優位を保つ共和党候補のブッシュ・テキサス州知事が最終的に当選したとしても、総得票数では民主党候補のゴア副大統領より約20万票も少ない「ねじれ当選」でしかない。1888年大統領選に勝利した第23代ベンジャミン・ハリソン(共和党)以来、史上4人目のケースだが、選挙人獲得数によって当選しても、総得票数で負けていたというのは、今後4年間、常に付きまとう「烙印」となろう。就任早々に確固たるリーダーシップを発揮しない限り、「生まれながらのレーム・ダック(死に体)大統領」といわれかねない(ちなみにハリソン大統領は、第9代大統領ウィリアム・ハリソンの孫であり、共和党穏健派で知られるなど、前大統領の長男であるブッシュ氏と共通点も多い)。

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