日本の再建には「涙の峠」を越える覚悟を

執筆者:中西輝政 2000年11月号
エリア: 日本

冷戦終焉から十年。歴史的な緊張感が緩んだことで、世界のあらゆる場面で「崩れ」の現象が見てとれる。しかし、日本人は目先の景気と政局に目を奪われている。この状態を放置すれば、日本の「崩れ」は全面崩壊へと向かうだけだ。 世紀の変わり目に際して、二十一世紀の世界がどのような様相を呈することになるのか、それをかなり明瞭に示唆したのが、この二〇〇〇年という年であった。 アメリカ大統領選の開票をめぐる混乱は、「民主主義の本家」においても、その理念を支えるシステムの根元が、実は予想外に杜撰なまま、誰も気づくことなく放置されていたことを全世界に示した。それは長期にわたる弛緩がシステムの「崩れ」へと向かうリスクを宿した二十一世紀初頭の世界的な流れを示唆するもののようにも感じられる。冷戦終焉後のこの十年余り、歴史的な緊張感があらゆるところで大きく、そしておそらくは不可逆的に弛緩し続け、「崩れ」の回路が止めようもなく進行している現代史の情景にも重なって見えてくる。 実際、それは、JCOの放射線漏れ事故や雪印事件など、かつて品質管理で世界的名声を博した日本で、九〇年代に進行していた深刻な「崩れ」の光景ともどこかで重なり合う。

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