介護保険が促す「市町村合併」

執筆者:足立紀尚 2000年11月号
エリア: 日本

求められるのは、自治省主導ではない市町村の「自発的な」合併 新潟県両津市。新潟港から高速船で六十分の佐渡島の玄関口である。ここで十月中旬、青年会議所が主催するシンポジウムが開かれた。講師役に呼ばれた自治省の事務官が「市町村合併」をテーマに話し、地元の商店主や行政関係者ら約五十人が耳を傾けた。 佐渡島にはかつて金山跡などに多くの観光客が訪れた時期もある。観光が主要な産業の地位を占めていたこの島も、ここ数年は観光客数が百万人の大台を割り込んでしまった。一方で、高齢化は着実に進みつつある。六十五歳以上のお年寄りは、島内の十市町村合わせると、三一・四%に達している(九九年四月現在)。過疎地域の多い新潟県内でも一、二を争う「高齢化先進地域」である。 佐渡島のあちこちで、最近「一島一市」という言葉が挨拶のように交わされるようになった。きっかけは、今年四月から始まった介護保険制度だった。人口八万人足らず。両津市に加え、島の西側に広がる佐渡郡は九町村で構成される。介護保険を始めるにあたり、二次判定の業務を十市町村が合同で行なうことにした。二次判定では医師が加わることが義務づけられている。だが島内に総合病院は四カ所のみ。医者がいないことから、自前で介護認定をしようにもできない自治体が半分以上を占めていたからだ。

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