妥協点の見えない「中東和平」

執筆者:村上大介 2000年12月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東

バラク・イスラエル首相の辞任で事態は一層不透明に[エルサレム発]九月末から続くイスラエルとパレスチナの衝突は三カ月日に突入し、死者はパレスチナ人を中心に三百人を超えたが、依然、収拾の糸口は見えていない。さらに、イスラエルのバラク首相が十二月十日に辞表を提出し、国民投票で首相を選ぶ「首相公選」の前倒し実施が確実となるという新しい展開を迎え、事態の先行きは一層不透明となっている。 パレスチナ側が一連の衝突を通じて採用した戦略を一言で要約すれば、「唯一の和平仲介者である米国とイスラエルのタッグマッチ」で続けられてきたパレスチナ和平プロセスの「ゲームのルール」を可能な限り自らに有利に変更することだった。今年七月に国会の少数派与党に転落したバラク首相はといえば、パレスチナとの衝突の対応をめぐり支持率は急落し、もはや当面の権力維持も不可能という崖っぷちに追い込まれた。そして、最後に打った大博打が、突然の「辞任」だった。 イスラエル国会(定数百二十)では、衝突勃発からちょうど二カ月目の十一月二十八日夜、首相に対する事実上の不信任ともいえる野党提出の「早期選挙実施法案」が可決された。パレスチナへの譲歩に強く反対する野党の右派リクードに非常事態・挙国一致内閣の樹立を呼びかけるなどして政権延命を模索していたバラク首相も受けて立つ姿勢を示し、政局は「二〇〇一年春」の首相公選、国会議員選挙の同時実施に向けて動き出したかにみえた。

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