妥協点の見えない「中東和平」

執筆者:村上大介 2000年12月号
タグ: イスラエル
エリア: 中東

バラク・イスラエル首相の辞任で事態は一層不透明に[エルサレム発]九月末から続くイスラエルとパレスチナの衝突は三カ月日に突入し、死者はパレスチナ人を中心に三百人を超えたが、依然、収拾の糸口は見えていない。さらに、イスラエルのバラク首相が十二月十日に辞表を提出し、国民投票で首相を選ぶ「首相公選」の前倒し実施が確実となるという新しい展開を迎え、事態の先行きは一層不透明となっている。 パレスチナ側が一連の衝突を通じて採用した戦略を一言で要約すれば、「唯一の和平仲介者である米国とイスラエルのタッグマッチ」で続けられてきたパレスチナ和平プロセスの「ゲームのルール」を可能な限り自らに有利に変更することだった。今年七月に国会の少数派与党に転落したバラク首相はといえば、パレスチナとの衝突の対応をめぐり支持率は急落し、もはや当面の権力維持も不可能という崖っぷちに追い込まれた。そして、最後に打った大博打が、突然の「辞任」だった。

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