キリスト教主導のマレー系国家フィリピン

執筆者:浅井信雄 2000年12月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史

 ルバング島で旧日本兵が戦後二十九年間隠れ住んだエピソードが示すように、樹木豊かな大小七千以上の島を海で結ぶフィリピンには隔絶された場所が多い。それが東南アジアでは異質の特徴をこの国に与えている。中央政府が全土に共通文化を広める以前に、欧米の植民地支配を受けたのだ。 その後遺症は今日まで尾を引いている。ゆがんだポピュリズム(大衆迎合主義)が蔓延し、俳優として全国的人気があるだけで、ジョセフ・エストラダ氏が大差で大統領に当選(一九九八年)し、政治混乱を招いたのが典型例である。 欧米の植民地支配とは、一五七一年からのスペイン統治、それを継いだ一九〇一年からのアメリカ統治だ。とくにスペイン支配の三百三十年間がフィリピンの国家と民族の性格に決定的な特徴を刻み込んだ。もしスペインの到来が百年遅く、目的が交易だけだったならば、近隣のインドネシアやマレーシアと同じく、フィリピンはイスラム教主導国家になっただろう。 二〇〇〇年七月現在の米国中央情報局(CIA)の推定によれば、フィリピンの総人口は八千百十五万九千六百四十四人である。民族的にはマレー系九五・五%(キリスト教系九一・五%、イスラム教系四%)、中国系一・五%、その他(先住民など)三%となる。

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