「タリバン」の支配で孤立深まるアフガニスタン

執筆者:立山良司 2000年12月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史

 アフガニスタンには「辺境の山国」というイメージがあるが、地政学上、古くからかなり重要な役割を果してきた。アレキサンダー大王もヒンズークシュ山脈を越えてインドに入ったし、十九世紀、ロシアの南下を恐れた英国は二回も遠征軍を送りこんだ。そしてイスラム組織タリバンが支配している現在、イメージが先行しすぎているきらいはあるが、「国際的なイスラム・テロの拠点」と恐れられている。 一九八〇年代、アフガニスタンではソ連軍と、米国の支援を受けたイスラム・ゲリラとの激しい戦闘が続いた。そのソ連軍が八九年までに撤退し「共通の敵」がいなくなると、今度はゲリラ同士で血みどろの勢力争いが展開された。アフガニスタンはもともと多民族社会だ。パシュトゥーン人やタジク人、トルクメン人、ウズベク人、ハザラ人などに細分化されている。宗教的にはイスラム教スンニー派が八〇%と多数派だが、シーア派も二〇%と無視できない。ゲリラ組織もやはり細分化され、合従連衡を繰り返していた。そこに一九九四年、突然登場したのがタリバンだった。 タリバンはパシュトゥー語で「知の追求者」、つまりイスラム教の宗教学校の学生を意味する。実際、タリバンの中核は八〇年代にパキスタンで次々と作られたデオバンディ派の宗教学校の学生達だ。デオバンディ派は十九世紀のインドに生まれたイスラム復興運動の一つで、激しい反英闘争を展開する等、西欧の帝国主義や世俗主義に強く抵抗してきた。タリバンの激しい反欧米姿勢や保守的なイスラム解釈は、こうしたデオバンディ派の流れを汲む。

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