シーダー(種まく人) 平松守彦『一村一品のすすめ』

執筆者:船橋洋一 2000年12月号
カテゴリ: 文化・歴史 書評

 大分県日田郡大山町へは、福岡市から車で行った。県の西にあって、南を熊本県に接する山間の町である。十一月初旬の小春日和の日、川縁のくねくねした道をのぼっていく。起伏が多い。ほどなくして、「木の花ガルテン」という看板が見えてきた。駐車場には福岡ナンバーの車が多い。 欧州の田舎町市場の趣がある。近くの農民たちが持ち込んだ手作り産品が所狭しと並べられている。カボチャ、ネギ、柿、ゴボウ、こんにゃく、蜂蜜。そして、キノコ類の数々。シイタケ、エノキ、シメジ、ナメコ。それに、ハーブ。 ラベルの上に生産者の名前が記されている。「産品は誰がつくったものなのか、消費者はすぐ分かるのです。福岡から来て、その生産者のところに行って懇談する人もいます」と矢羽田正豪・大山町農協営農流通事業部長は言った。「梅栗植えてハワイへ」から 一九六九年、大山町(当時は大山村)に「世界を知ろう会」という名の集いが生まれた。イスラエルのキブツに行って働きながら、新しい農村づくりを勉強したいと夢を膨らませる若者たちがつくった。同年、三人の若者がキブツに旅立った。旅費は、農協と村とが半分ずつ負担。キブツへの派遣は、その後も農協主体で一貫して続けられている。

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