【焦点の人】ジョセフ・エストラダ(フィリピン大統領) 一月には結審する弾劾裁判の行方

執筆者:松澤信彦 2000年12月号
カテゴリ: 国際

 エストラダ大統領の罷免の是非を問う弾劾裁判(ダビデ裁判長・最高裁長官)が十二月七日、フィリピン上院で開始された。下院議員十一人で構成される検事団に対し、弁護団を率いるのはナバサ前最高裁長官。陪審員は、上院議員全員(二十二人)だ。大統領の愛人たちの出廷も論議される弾劾裁判は、「世紀の裁判」として内外の注目を集める。 大統領の訴追は、違法賭博上納金を受領した「収賄」ほか、「腐敗」、「公共の信用への背信」、「憲法違反」の四条項からなる。四条項のうち一つでも有罪とされれば大統領は罷免となる。そもそものきっかけは十月四日、「フエテン」と呼ばれる賭博の違法上納金など五億三千万ペソ(約十二億円)をエストラダ大統領に上納した、とするシンソン南イロコス州知事の告発だった。 同知事は、一九九八年政権発足直後、「フエテン」の集金係を大統領から直接命じられたという。しかし、今年になって「フエテン」の公営化が進められ、利権争いが噴出。クローニー(取巻き)間の内輪もめが、告発という形で大統領に襲い掛かった。就任以来、腐敗のうわさが絶えないエストラダ大統領だけに、内部からの告発にマスコミは色めき立った。「事実無根のでっちあげ」と容疑を否定する大統領のコトバを真に受ける者はなく、アキノ元大統領はじめカトリックのシン枢機卿らの有力者が「統治する道義的正当性を失った」と大統領に辞任を勧告。大統領の辞任で自動的に昇格となるアロヨ副大統領が閣僚を辞任し、汚職疑惑は一気に政治危機へと深化していった。

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