出来が悪いとペナルティー 日産の「英語残酷物語」

2000年12月号
カテゴリ: 社会 経済・ビジネス
エリア: 日本

 五カ国語を自由に操るカルロス・ゴーン社長のもと、日産自動車の社員が英語と格闘している。昨年の資本提携後、日産が仏自動車大手のルノーから受け入れた幹部は約三十人。人数こそ少ないが、枢要ポストに配置され、多くの社員が「英語を使いこなせなければ仕事にならない」という厳しい状況に追い込まれている。“惨状”を象徴するのが今年度から始まった英語研修制度だ。「集中語学研修」の対象者は、国際的な英語能力テストであるTOEICの成績が六百点以上で、日常業務に特に英語が必要な社員。初年度は約六百人が副社長クラスによって指名された。TOEIC七百三十点を目指し、一人当たり百時間のグループ学習に臨む。 と、ここまでならごくありふれた研修だが、新制度の最大の特徴は、出来の悪い社員にはペナルティーが科される点だ。研修への出席率、英語の上達度があらかじめ定められた基準に達しないと、研修費用の自己負担という名目で最低でも五万円、悪くすると二十万円の支払いを求められる。出席率が七割を超えれば上達度は問われないが、勤務時間外の受講であっても残業や休日出勤の手当は出ない。 日産では今のところ、語学力が年収や昇進、昇格に直接、影響することはない。しかし今年度からは海外大学の卒業生を主なターゲットに秋季の新卒採用を始めた。英語が出来ない社員の肩身は狭くなる一方だ。目下ゴーン社長は日本語の猛勉強中。日々厳しい指示を社員に飛ばすが、「日本語で言ってみろ!」(中堅社員)とヤケ気味の声も。まあ無駄になるものじゃなし、頑張って下さいよ――。

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