Q.5 北方領土は返還されるか

執筆者:桜井薫 2000年12月号
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: ロシア 日本

NO 90%「二〇〇〇年末までの日ロ平和条約締結に全力を尽くす」とした一九九七年十一月のクラスノヤルスク合意が事実上頓挫し、日ロ両国政府は交渉を加速するための「新たな方策」作りを目指している。だが、日ロ関係の停滞は否めず、今後十年間での北方領土問題の画期的な進展は期待薄だ。 二〇〇〇年九月、ロシアのプーチン大統領が初めて日本を公式訪問した際、日本外務省の事務方は首脳会談時の大統領の発言に「えっ?」と驚いた。平和条約締結後の色丹島、歯舞群島の二島返還を明記した一九五六年の日ソ共同宣言の有効性を大統領自ら明言したからだ。ゴルバチョフ元ソ連大統領はかつて、その有効性確認を拒否し、エリツィン前ロシア大統領も首脳交渉では明確に認めなかった経緯がある。 クラスノヤルスク合意失効後の対処策に悩んでいた日本側の一部当事者はこれに飛びついた。ロシア側が有効性を認めた五六年宣言を基礎に、北方領土問題を含めた平和条約締結交渉を加速させようという戦略。つまり五六年宣言に基づいて中間的な平和条約を締結し、二島の引き渡し実現後に残る国後、択捉両島の帰属問題を協議すればよいという戦略である。日本政府内で「二島先行返還論」がくすぶっている所以だ。

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