クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

21世紀という暗い世紀

執筆者:徳岡孝夫 2001年1月号
タグ: 中国 ロシア 日本

 鳥のように空を飛ぶのは、長いあいだ人間の夢だった。二十世紀が始まって三年目、ライト兄弟が人類初の動力飛行で、二百六十メートルの距離を飛ぶのに成功した。するとその世紀の終わる頃には、五百人以上の客を積んだ旅客機が飛んだり、音速の二倍を出せるまで、人間の技術は進歩していた。 夜空に浮かぶ赤い、どこか不吉な感じのする星も、大昔から人間に見上げられてきた。西洋人はその星から軍神を連想し、日本人は火星と呼んできた。 いま、二十一世紀が始まったばかりの時点で、人類はすでにかなり火星について知っている。マリナー、バイキング、サーベイヤーなどを打ち上げて火星を撮影し、また人工衛星を着陸させた。このペースでいくと、今世紀が終わる前に人間は火星の上に立つはずである。もし猛烈な砂あらしでなければ、人はそのとき火星上に何を見るだろうか?

カテゴリ: 環境・エネルギー
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執筆者プロフィール
徳岡孝夫(とくおかたかお) 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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