コンドリーザ・ライス(米大統領国家安全保障担当補佐官) 初の黒人・女性アメリカ大統領の呼び声も高いブッシュ外交の重鎮

執筆者:名越健郎 2001年1月号
エリア: 北米

「私の祖父は一九一八年、大学で学ぼうと決意し、黒人に門戸を開いたアラバマ州のスティルマン大学を探して入学した。綿花を売って学費を稼ぎ、牧師になって奨学金を得た。それ以来、ライス家では全員が大学で学んだ」 昨年七月フィラデルフィアで開かれた共和党大会で、コンドリーザ・ライス米大統領補佐官(四六=国家安全保障担当)の演説はひときわ異彩を放った。大多数の黒人が福祉と庇護を求めて「大きな政府」の民主党を支持する中、ライス家が機会と競争を重視する共和党を選んだ理由を告白したからだ。 他人の発言はめったに引用しないことで知られる著名な保守派評論家、ジョージ・ウィルは、ワシントン・ポスト紙のコラムでライス演説を長々と紹介し、「共和党はいまや、パウエル(国務長官)とライスの党だ」と絶賛した。二人を前面に出し、ブッシュ大統領の「思いやりのある保守主義」をアピールした党大会は、白人政党の共和党が弱者と少数派に切り込んだ点で、歴史的意味があったといえる。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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