矢野博丈(大創産業社長) 百円ショップの隆盛をもたらした「デフレ経済の仕掛け人」

執筆者:中上川達 2001年1月号
エリア: 日本

 一日一店、いや二店の勢いで出店する“デフレ経済の仕掛け人”。それがシェア七割を占める百円ショップの最大手、大創産業の矢野博丈社長だ。今や全国二千店。百貨店やスーパーの売上高が前年割れを続ける中で今三月期の売上高は二千億円を突破する見込みだ。過去六年で十一倍以上。年間二十億個という販売数量は日本人一人当たり年十六個買っている勘定だ。コップ、腕時計、英和辞典、老眼鏡、ネクタイ、土なべ……。百貨店や専門店で千―二千円しそうなものまで集め「これでも百円なの!」と思わせる意外感、宝物探しの魅力が顧客を誘う。「主婦のレジャーランド」がキャッチフレーズだ。 一九四三年広島県で生まれた。八人兄弟の末っ子だ。父は医者で四人の兄のうち二人も医者。矢野氏は中央大学理工学部土木工学科の夜間部を卒業した。ずんぐりした体躯に丸顔、人懐っこい目。高校時代はボクシング部、大学はワンダーフォーゲル部に属した。「ワシは兄たちみたいに頭ようなかったけん、ただ馬力はあった」。卒業後は、サラリーマンの道を選ばず、事業家をめざし、学生結婚した妻の実家が広島県尾道市で営むハマチの養殖業を継いだ。そこから苦難が始まった。重労働に泣いた養殖業に失敗し、多額の借金を背負って夜逃げ同然で東京に行き、チリ紙交換や百科事典の訪問販売など、九回も転職を繰り返した。

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