危うい「グリーンスパン依存症」

2001年3月号
エリア: 北米

経済政策の権力がFRB議長に集中しているだけに……[ワシントン発]二月二十八日午前八時半。米ワシントンの中心からやや東側に位置する米下院のキャノン・オフィス・ビルの二階では、金融サービス委員会のスタッフが緊張した面持ちでコピー機を動かしていた。一時間後に始まるアラン・グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の証言を関係者に配るためだ。 二月十三日の上院銀行委員会に続く同議長の証言は、年二回の金融政策に関する定例議会証言の一環だが、証言内容のコピーなどいつもならさして緊張する作業ではない。だが、この日は違っていた。 証言の直前、金融サービス委員会事務局にFRBから「証言内容を一部変更する」との連絡があったのだ。通常、議長は上下両院で全く同じテキストに基づく意見陳述をしてから、議員との質疑応答に入る。この慣例を破る異例の変更だった。気の早い米株式市場が「FRBの政策決定機関である定例公開市場委員会(FOMC)の次回開催は三月二十日だが、それを待たずに緊急利下げに踏み切るのではないか」と読み込んだのも、決して滑稽とは言い切れないほどのインパクトだった。 結果的には証言内容の訂正は「微修正」にとどまり、証言の内容が伝わると、米株式市場はズルズルと下げる展開になった。多くの米メディアは株式市場の失望感と歩調を合わせるかのように、「議長が景気認識を若干、下方修正した」と軽く伝えるにとどめた。

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