インテリジェンス・ナウ
インテリジェンス・ナウ

すでに熾烈化していた米中情報戦争の内情

春名幹男
執筆者:春名幹男 2001年4月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾 北米

 南シナ海で起きた米海軍偵察機と中国軍戦闘機の接触・墜落事故の背景には中台問題がある。だから、この事故の結果、アメリカから台湾へのP3対潜哨戒機やイージス艦の供与に弾みがつく――そんな論調が日本のメディアをにぎわしている。 確かに、そんな一面もあるだろう。「しかし、事態はもっとスケールが大きい。この事故は、長期的かつ広範な視野からとらえるべきだ」と在京国際情報筋は言う。 ラムズフェルド米国防長官は現在、米戦略の根本的な見直しを検討中だ。これまで米軍は、ヨーロッパ前線での大規模な戦争に備え、同時に二つの戦争にも対処する――という前提で人員も装備も整備してきた。新しい戦略では、ラムズフェルド長官は、重心をアジアに移し、その上に立って、武器調達やコンティンジェンシー・プラン(緊急事態対応計画)などを策定するというのである。 新戦略はいずれ発表され、ブッシュ・ドクトリンないしはラムズフェルド・ドクトリンなどと名付けられることになるかもしれない。その名称や詳細はどうあれ、新戦略の主たる“仮想敵国”は「二十一世紀の超大国」と呼ばれる中国とされるだろう。 中台対決、朝鮮半島有事で中国がどう出るか、あるいは米本土に到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)の増強といった問題だけではない。中国の経済発展に伴う諸問題、とりわけエネルギー源の確保、シーレーンの防衛といった分野にまで対応の範囲は及ぶ。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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