介護タクシーに手を焼く厚生労働省

2001年4月号
カテゴリ: 経済政策・社会保障
エリア: 日本

せっかく生まれたビジネスに横やりを入れてはみたものの…… 公的介護保険がスタートして一年が経過した。費用のかさむ施設介護偏重から、在宅サービス中心に移行させるのが制度の目的の一つだが、肝心の在宅サービスは利用が今ひとつ伸びず、ビジネスの縮小を迫られている事業者は少なくない。 そんな中、要介護者の外出をサポートする「介護タクシー」が急成長している。訪問介護事業者の指定を受けたタクシー会社が提供するもので、要介護者は二百十円の自己負担を支払えば、目的地まで送り届けてもらえる。足腰の弱った高齢者にとって、有り難いサービスに違いなく、爆発的に利用が増えている。 ところが、所管官庁の厚生労働省は「保険でタクシーが利用できるのは、制度の趣旨にそぐわない」と、四月からタクシー会社を介護サービス業界から締め出すよう都道府県に通達した。対するタクシー会社側は、「介護保険は異業種の自由参入が原則のはず。特定業種を狙い撃ちにした規制は約束違反」と反発。「実際に締め出しが行われれば、訴訟も辞さない」と強気で、対決姿勢を鮮明にしている。違法な点はどこにもないのに 介護タクシーは、福岡県岡垣町のタクシー会社「メディス」が始めたサービス。ヘルパー資格を持つ乗務員が要介護者を自宅まで迎えに行き、身支度など外出の準備を手伝った上で、足腰が不自由な高齢者の場合は抱き抱えるなどしてタクシーに乗せる。目的地が病院ならば、降車を介助してからも、診療受け付けの代行や院内の付き添いなどもする。介護保険からは、こうした乗車前後の介助行為に対し、ホームヘルプの「外出介助」の報酬(三十分未満で二千百円、うち一割は利用者負担)が、タクシー会社に支払われる。

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