暴走する中国の「対米強硬世論」

執筆者:藤田洋毅 2001年4月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾 北米

いまや「人民の声」こそ江沢民指導部への最大の圧力団体「人民の声が、ますます大きなうねりとなって中南海を包囲しています。今回はその巨大さをとことん実感しました」――中国共産党中央の幹部は言う。 中米軍用機接触事故の処理にあたり、党指導部が注意を払ったのは、実は対米外交戦略や人民解放軍との調整だけではない。人民の声、すなわち世論の動向にこそ最も心血を注いだのだ。世論の圧力はしばしば、江沢民総書記が受身に立たされたかと思えるほどで、いまや中南海に対する最大の圧力団体になりつつある。対米交渉の三つの柱「両国にとって不幸だったのは、そもそも最初の一歩からボタンを掛け違ったことだ」と、この幹部は語った。中国は、四月一日午前の事故直後から指導部の論評を慎重に避け、米側の出方を待った。ところがブッシュ大統領は二日、「中国側が機敏な対応を取れないことに当惑している。国際慣習に沿って機体と乗員の早期返還を求める」旨の声明を発表。同時に外交ルート以外から、中国の最大の関心事である北京オリンピック開催、WTO加盟、台湾への武器供与への悪影響を指摘する米側の声が伝えられた。中には「九六年春を思い起こしてほしい」と、台湾海峡危機の際の空母派遣を示唆し「脅迫した」元米政府高官もいたという。

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