日本体操協会は「甘えの構造」から抜け出せるか

執筆者:北川和徳 2001年4月号
カテゴリ: 社会
エリア: 日本

 日本体操協会がこの春、人事を一新した。会長をはじめ役員約三十人のうち半数以上が交代。年功序列が重んじられる日本のスポーツ組織では、過去に例がないドラスチックな変化である。 体操は男子が一九七〇年代まで五輪団体五連覇を達成、日本で最も多くの金メダルを獲得してきた競技だ。しかし最近二大会は連続メダルなし。シドニー五輪後に発覚した、日本オリンピック委員会(JOC)加盟競技団体による国の補助金不正運用スキャンダルにも連座し、「体操ニッポン」もすっかり地に堕ちた。 今回の人事刷新は「上からのクーデター」である。前会長で特定医療法人「徳洲会」理事長、徳田虎雄氏(衆議院議員)が五輪の不成績やスキャンダルに激怒したのが引き金となった。競技団体が、直接は縁の薄い政財界人を会長に招くのは珍しくない。組織の格を上げ、寄付などを集めやすくするのが狙いで、パトロンとして資金援助が期待されることもある。特に体操協会はその傾向が強く、徳田氏の前はマンション最大手、大京の創業者横山修二氏が会長だった。頼まれる側にも、スポーツとかかわることが自身のイメージアップになるという思惑がある。 徳田氏からは会長として毎年三千万円の寄付があった。九八年には紀陽銀行の体操部からメンバーを引き取って徳洲会体操クラブを設立。これだけ金を出してもメダルは取れず、スキャンダルまで飛び出しては、怒るのも当然だろう。昨年十月、自ら辞任を表明した外様会長の怒りの迫力に押されるように、常務理事全員が辞表を提出、ようやく「改革委員会」(徳田虎雄委員長)が作られ役員選出の内規作りなどに乗り出した。選手そっちのけで出身大学やクラブによる主導権争いを続けていた体操協会の改革がこれで一気に進むのだから、皮肉なものである。

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