法王の正教会への「謝罪」でも癒されざる歴史の傷跡

執筆者:立山良司 2001年6月号

「過去から現在に至るまで、カトリック教会の息子や娘達は行動や黙殺で、(東方)正教会の兄弟姉妹に対し罪を犯してきた。その赦しを我々は主に乞う」――ローマ法王ヨハネ・パウロ二世はアテネ訪問中の五月四日、ギリシャ正教会のフリストドゥロス大主教を前にこう謝罪の言葉を述べた。 法王の今回のギリシャ、シリア、マルタ三カ国訪問は使徒パウロの足跡を辿る巡礼の旅だった。その中で最も注目されたのは、アテネ訪問時に東方正教会、特にその中心に位置するギリシャ正教会が長年、バチカンに突きつけてきた謝罪要求にどう答えるかだった。

カテゴリ: カルチャー
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