理研「遺伝子スパイ事件」の必然

2001年6月号
カテゴリ: 国際 社会
エリア: 北米 日本

バイオがITに代わってアメリカ経済の牽引役として期待される中で――[ワシントン発]日本の理化学研究所の研究者ら二人がオハイオ州クリーブランドの医療機関から遺伝子サンプルを盗み出したとして、五月に米司法省から経済スパイ法違反で起訴された事件が、日本の政府、産業界、学界に衝撃を与えている。一九八二年に日立製作所、三菱電機の社員が米IBMのコンピューターに関する企業機密を盗み出そうとしたとして逮捕された産業スパイ事件を彷彿とさせ、バイオテクノロジーの分野で米政府が高度技術の囲い込みに乗り出したとの観測を呼んでいるためだ。 米国では情報技術(IT)産業に支えられた記録的な好景気に終わりが見え始め、IT分野では大手から中小まで事業縮小や売却、解雇が相次いでいる。こうしたなかで、バイオテクノロジーが米経済に再び力強さを取り戻させる重要分野としてかつてないほどの期待を集めているのは間違いない。 今年一月に就任した共和党ブッシュ大統領は、いまだに科学技術担当補佐官を指名していないなど、クリントン前大統領に比べてハイテクへの興味は薄いといわれる。チェイニー副大統領も、情報スーパーハイウェー構想で名をはせたゴア前副大統領のようなハイテク推進者のイメージはない。しかし、バイオ分野の研究開発に関しては、がんやアルツハイマー症などの強力な患者団体や、政治資金の供給源として無視できない大手製薬会社の働きかけもあり、政府は破格の扱いをしている。

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