経済財政担当相がリードした七十五日間を追う

執筆者:佐野領 2001年7月号
エリア: 日本

 小泉政権で構造改革の旗手を務める竹中平蔵経済財政担当相。政府が公式の景気判断としてまとめる月例経済報告では、官僚の慎重論を退けて日本経済が悪化している実状を率直に明かし、小泉改革の青写真をまとめた経済財政諮問会議では、学者と財界人の民間メンバーが起草した「経済財政運営の基本方針」を閣議決定にまで押し上げた。こうした政策決定過程をテレビを通じて一般家庭にまで浸透させる手腕はまさに水際立っている。 だが、構造改革が、基本方針を作成する「序章」から平成十四年度予算編成を通じて基本方針の実行を問われる「本編」に突入するいま、政権における竹中氏の役割がじわりと質的変化を始めたようだ。一方で以前より重みを増してきたのが塩川正十郎財務相の存在である。幕間として国民の反応を確かめる参院選をはさみ、竹中氏と塩川氏が絶妙に役柄を演じ分ける小泉改革の次の一手が浮き上がってくる。滑り出しは合格点 竹中氏の閣僚デビューは鮮やかだった。就任会見で「昨日まで大学で教授をしていた」と語った竹中氏は、小泉純一郎首相の所信表明演説で中核となった経済部分の草稿を作り、改革の理念を「構造改革なくして日本の再生と発展はない」と表現した。この台詞を小泉首相が頬を紅潮させながら読み上げる演出は、内閣への圧倒的な支持率につながった。竹中氏が主導した草稿作りからは歴代首相の所信表明演説にかかわってきた財務省(旧大蔵省)も蚊帳の外に置かれ、財務省幹部が「事前に意見を求められることはなかった」とぼやいたほどだ。

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