トルコを動かす三本足のバランスが崩れ始めた

執筆者:浅井信雄 2001年7月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: 中東

 軍人出身のケマル・アタチュルクが一九二三年、政教分離のトルコ共和国を樹立して以来、トルコを動かしてきた三大要素は、軍部、イスラム、クルド少数民族である。さる六月、トルコの憲法裁判所が、政教分離に立つ現憲法に抵触するとの理由で、最大野党でイスラム原理主義色の強い美徳党を活動停止にしたため、三者の均衡が揺らぎ始めた。憲法裁の裁定にも軍部の思惑が働いたとの見方が強い。 トルコはかつて中東から北アフリカやバルカン、西欧の一部にまで覇権を拡大したオスマン・トルコ帝国の末裔である。二〇〇〇年七月現在の米国CIA(中央情報局)の推定では、トルコの総人口は六五六六万六六七七人、うち主導的なトルコ族が八〇%、残り二〇%がクルド族だ。宗教的にはイスラム教徒(スンニー派が大半)九九・八%、残り〇・二%がキリスト教徒、ユダヤ教徒などである。 東洋と西洋の十字路に立つといわれるトルコは、アナトリアと呼ばれるアジア地域が主体をなし、トラキアと呼ばれる欧州側は面積で三%、人口でも一〇%ほどにすぎない。アナトリア中央部に紀元前六〇〇〇年と推定される農業集落の遺跡がある。その後、東からのアケメネス朝ペルシャ帝国、西からのローマ帝国を始めいくつもの支配者が来ては去ったが、十一世紀に到来したトルコ族が、今日までこの戦略要地の支配者として残る。

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