「国益」とルール 畠山襄『通商交渉 国益を巡るドラマ』

執筆者:船橋洋一 2001年7月号
カテゴリ: 文化・歴史 書評

 その部分、METIと書いてある英文の論文を読むうち、アレ、誤植じゃないのかこれは、MITIの間違いなのではないか、と思ってから、ああそうか、通産省は経済産業省に変わったのだっけ、と納得した記憶がある。 MITI(ミティ)は三十年近く前、経済記者として担当したことがあるし、その語感とともにわたしの語彙空間にすっかり定着していたから、省庁再編でその名称が消滅した時、日本の戦後がもう一つ終わったのかとの特別の感慨を持った。 日本の戦後の形成にMITIが果たした役割は大きかった。彼らは産業政策と通商政策のプロとして、戦後の日本経済の再建と発展の司令塔、かつ先兵として活躍した。そこには、戦国の武士のような男っぽい官僚たちが多数、参集した。

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