聖地巡礼パックツアーますます大盛況

執筆者:立山良司 2001年8月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: ヨーロッパ

 聖地巡礼をパックツアーに結びつけ、近代的な観光産業へと変貌させたのはトーマス・クック社だといわれている。今でも同社のホームページをのぞくと、ヨーロッパやインド、中東への巡礼ツアーがよりどりみどりだ。 人間は聖なる場所を巡るという行為を古代からやっていた。巡礼とは普段の日常的な生活を捨て旅に出ることで、新たな神の姿を見出すことであり、見知らぬ人々との邂逅も意味していた。巡礼を信徒が行なうべき義務のひとつとして制度化しているのはイスラム教だ。巡礼月の間、メッカは白装束の巡礼者で埋め尽くされる。 西ヨーロッパのカトリック世界でも、聖地への巡礼は旅行の大衆化とともにますます盛んになっている。バチカンのあるローマはもとより、イタリアのアッシジやロレート、フランスのルルドやシャルトル、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステラ、ポルトガルのファティマなど名だたる聖地には、毎年数百万の巡礼者ないし観光客が押し寄せている。 十三世紀初頭に清貧の教えを説いて聖人に叙せられた聖フランチェスコの聖堂があるアッシジには、ヨーロッパや米国、アジアなどから年間六〇〇万人が訪れるという。聖堂の地下にある聖フランチェスコの墓の前にひざまずいて一心に祈っている人もいれば、撮影禁止のサインを無視してビデオカメラを回している不信心者もいる。フランチェスコ修道会のマグロー神父によれば、巡礼は二つの動機に分けられる。ひとつは神と人との間に仲介者として立っている聖人に対する崇拝であり、もうひとつは聖地にある教会に行くことで神の慈悲や赦しを得ることだ。

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