フランスはいま「保革スキャンダル合戦」の真っ最中

渡邊啓貴
執筆者:渡邊啓貴 2001年8月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ

利権構造は左右を問わず根深く、政界の世代交代は遅々として進まない。来年の大統領選を前に、与野党それぞれの腐敗構造が暴かれ…… ジャック・シラク大統領周辺から次々とスキャンダルが出てくる。大統領就任早々の一九九五年、パリ市長時代(七七年―九五年)に腹心のチベリ助役(九五年当時はパリ市長)がHLM(低家賃住宅)入居の便宜を図った収賄疑惑や、党資金捻出のためのパリ市役所でのカラ雇用疑惑などが噴き出した。 これは政治決着での乗り切りを図ったものの、今年六月には新たに、フランスの有力週刊誌『レクスプレス』(インターネット版)が、シラク大統領の私的海外旅行費支払いに際しての不正資金流用疑惑(コンコルド疑惑)をすっぱ抜いた。九二年から九五年にかけて、シラクとその家族・親類が、米国・日本などを旅行した際の代金二百四十万フラン(三千八百万円)が現金決済されていた事実が暴露されたのである。これは、公職にある者が二万フラン以上出費する際には、小切手かクレジットカードでの支払いを義務付けた法律に抵触するが、問題は支払われた現金の出所だった。 コンコルド疑惑は実は、別の疑惑捜査の過程で浮かび上がってきたもの。イル・ド・フランス地域の高校施設建設業者から、累積で六億フランに上る手数料がシラクの支持母体である政党RPR(共和国連合)ないしはシラク自身に不正資金として流れたという疑惑があり、その事件の調査中にシラクが購入した現金支払いの航空券が証拠物件の中に見つかったのである。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴
渡邊啓貴 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1954年生れ。パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。
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