私はこんな教育を受けてきた 「逸材」はいかにして育ったのか

執筆者:平田オリザ 2001年8月号
カテゴリ: 社会
エリア: 日本

 十六歳の時、私は高校を休学し、一年半をかけて、自転車で二十六カ国を回った。常識的には無謀とも言える挑戦だったが得たものは多かった。 たとえば、旅の間、五百通くらい手紙を書いた。独りの淋しさからだが、それは他人に何かを伝えるうえですごく貴重な体験だったと思う。何より、心身ともに未熟なあの時期、孤独の中で徹底して自分と向き合う時間を得られたことは大きかった。漠然と抱いていた「物書きになろう」という思いが、明確な輪郭をとり始めたのもこの時だ。 旅先では、多くの出会いにも恵まれた。会ったばかりの相手の懐に飛び込んでいけたのは、今にして思えば若さ故、人恋しさの故だったかもしれない。しかし、結果的にはこの旅を通じて、人との距離のとり方を学んだように思う。

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