深層レポート 日本の政治 (20)

参院選完勝でも喜べない自民党の内部事情

執筆者: 2001年8月号
エリア: アジア

 八月十日、自民党は党大会に代わる両院議員総会を開き、小泉純一郎総裁(首相)の無投票再選を決めた。九月末の任期切れを待たず、この時期に総裁選日程を前倒ししたのは、四月まで参院選惨敗は必至とみられていた自民党に奇跡の逆転勝利をもたらした人気首相への、党執行部の感謝と激励の意思表示だった。 自民党の総裁公選規程は「議員投票の投票日は、総裁の任期満了日前十日以内とする」と定めている。この規程を変えない限り、本来は総裁選は九月下旬にしか行なえないのである。お盆前の小泉再選はいかにも自民党らしい、融通無碍な“超法規的措置”だった。「執行部刷新」要求が広がらないうちに、小泉再選とセットで自らの続投も決めてしまいたいという山崎拓幹事長らの見え見えの思惑にも目をつぶり、党内各派が無条件で前倒しを受け入れたのはほかでもない。「抵抗勢力」のレッテルを貼られたくないという思い以前に、予想外の選挙結果に半ば酔い、また半ば打ちひしがれていたためだ。

カテゴリ: 政治
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