公正な市場ルールを目指した東証マンの挑戦 証券取引審議会総合部会座長として日本版ビッグバンのシナリオづくりに携わった蝋山昌一大阪大学教授(現・国立高岡短期大学長)は、かつてビッグバンの狙いを次のように語った。「一千四百兆円に達する個人金融資産を、証券市場をはじめとする多様な市場に呼び込むことで、銀行の間接金融に過度に依存した日本の金融構造を是正し、第二、第三の柱を作ることで金融不安の発生を抑え、解消を図る」 その蝋山が、最も心血を注いだのが不動産市場に個人資産を流入させることだった。それは不良債権の処理を促し、不透明感の強い不動産流通の構造変革を促すものでもあった。そのためにSPC法(資産流動化法)などのいくつかのビジョンを提示し、またいくつかは実現した。
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