国際政治学は誰のため?

執筆者:坪内淳 2001年9月号
タグ: アメリカ 日本
エリア: 北米

 私の所属するハーバード大学の研究所では、毎週金曜日の昼に昼食持ち寄りでフェロー(所属研究員)が集まるインフォーマルな勉強会がある。その日の講師は研究所のトップも務める著名な国際政治学者で、場にはいつもとは違った緊張感が漂っていた。ラフな格好で現れた教授は、カフェテリアで買ったらしいサンドイッチをつまみながら我々フェローとしばし談笑した後、本題に入った。「これはまだ構想段階だから、ぜひとも皆さんの意見を参考にしたい」。そう前置きした後「私も最近人間が丸くなったといわれるので、相当の批判にも耐える自信があります」とちゃめっ気たっぷりに付け足した。フェローたちの間からくすくすと笑い声が漏れる。

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