医療保険制度改革はまたしても「医者のゴネ得」に終わるのか

2001年10月号
エリア: 日本

国民負担の強化はてんこ盛りでも、医療機関の「痛み」はほとんどなし。厚相経験者の小泉首相は、日本医師会に対してどう打って出るのか。「これじゃあ、痛みがあるのは、国民の側だけだ」――九月二十日、医療保険制度改革の厚生労働省試案を説明された小泉純一郎首相は、そう言うと同省の幹部を官邸の執務室から追い出した。確かにこの試案には、高齢者医療の対象年齢引き上げ、サラリーマンの保険料や医療機関で支払う窓口負担のアップなど、国民負担の強化がてんこ盛り。医療機関に負担を求める部分はほとんどない。“聖域なき”構造改革を看板に掲げる小泉首相にとって、我慢ならない内容であったのは間違いない。 医療機関の利害を代表する日本医師会は、わが国でも最強の「抵抗勢力」。何兆円という社会保障費を所管しながら政治力ゼロの厚生労働省にとっては、官邸よりも恐ろしい存在だ。結局、同省は首相の不興を買った試案の内容をまったく変えずに公表せざるを得なかった。ただ、仮に試案がそのまま実現しても、その効果は政府管掌健康保険(政管健保)の破綻を数年先送りできる程度で、当の厚生労働省も「数年以内には(再度の)見直しが必要」と認めるほど、場当たり的なもの。医療保険制度改革は、年末までに成案をまとめないと、来年度の予算編成ができない。しかし、この試案を手ぬるいとする批判は政府内にも強く、今後の迷走は必至だ。

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