“英雄”コリン・パウエルの復活

名越健郎
執筆者:名越健郎 2001年10月号
カテゴリ: 国際 金融
エリア: 北米

「テロリストよりパウエルに勝つことを狙っている」といわれる共和党保守派との熾烈な攻防の末、国務長官はいま、圧倒的存在感を示しつつある――。 保守派優勢のブッシュ米政権で孤立していた穏健派のパウエル国務長官が、同時テロ事件を機に“復活”を果たした。国際的な「反テロ連合」の結成はパウエルの手腕であり、ブッシュ外交は事実上、保守派が主導してきたユニラテラリズム(単独行動主義)を放棄、国際協調主義に移行しつつある。テロ対策が成果を挙げれば、ブッシュ政権は保守主義から「中道保守」に路線転換し、「ブッシュ・パウエル政権」の様相を強めるかもしれない。国務長官vs.国防副長官 同時テロ発生後、最初の週末となった九月十六日――。キャンプデービッド山荘で、国家安全保障会議(NSC)が開かれた。英紙オブザーバー(九月二十三日)の調査報道によると、会議で口火を切ったのは、保守派のウルフォウィッツ国防副長官だった。 ウルフォウィッツは「テロを一掃するため、中東からアジアに広がるテロリストの拠点に対し、早急に広範な軍事攻撃を行なうべきだ。テロリスト拠点だけでなく、テロ支援国も攻撃し、テロの温床を根絶する必要がある」と訴えた。具体的には、イラクやシリア、さらにイラン系過激派組織ヒズボラの拠点があるレバノンのベカー高原も攻撃するよう主張、「(イラクの)サダム・フセインが政権にとどまる限り、テロとの戦いに勝利はない」と強調した。

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執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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