トニー・ブレアの「言葉による戦争」

執筆者:田中明彦 2001年11月号
カテゴリ: 国際 金融
エリア: ヨーロッパ

戦闘の勝利だけでは、戦争は終わらない。「戦後ビジョン」を示して初めて、世界をリードすることができる。いま、トニー・ブレア英首相こそ、その歴史的役割を果たしつつあるのではないか。 一九四一年八月、フランクリン・ローズベルト米大統領とイギリスのウィンストン・チャーチル首相は、ニューファウンドランド沖の米英軍艦上でいわゆる「大西洋会談」を行ない、そこで「大西洋憲章」を発表した。第二次世界大戦はすでに始まっていたが、日本の真珠湾攻撃はいまだ四カ月近く先のことであり、アメリカは戦争に参加していなかった。しかし、この米英軍艦上で二人の米英指導者によって合意された項目は、アメリカの参戦後、「連合国宣言」の中に組み込まれ、第二次世界大戦において「連合国」を指導する「戦後構想」となった。 いまだに戦争の帰趨もはっきりせず、アメリカも参戦していない時点で、「大西洋憲章」は「ナチ圧政の最終的壊滅の後、両国はすべての国家に対して自己の境界内で安全に生活する手段を提供するような平和、そしてあらゆる国土のあらゆる国民が、恐怖と欠乏から解放された自由のなかで生きる保証を提供する平和の確立を求める」と宣言し、平和が回復された暁には「あらゆる国家が、国の大小にかかわらず、戦争の勝利や敗北にかかわらず、その経済的繁栄に必要な貿易と世界の原料に対して、平等の条件の下で入手の機会を享受することを促進せんと努力する」と約束していた。

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