戦闘の勝利だけでは、戦争は終わらない。「戦後ビジョン」を示して初めて、世界をリードすることができる。いま、トニー・ブレア英首相こそ、その歴史的役割を果たしつつあるのではないか。 一九四一年八月、フランクリン・ローズベルト米大統領とイギリスのウィンストン・チャーチル首相は、ニューファウンドランド沖の米英軍艦上でいわゆる「大西洋会談」を行ない、そこで「大西洋憲章」を発表した。第二次世界大戦はすでに始まっていたが、日本の真珠湾攻撃はいまだ四カ月近く先のことであり、アメリカは戦争に参加していなかった。しかし、この米英軍艦上で二人の米英指導者によって合意された項目は、アメリカの参戦後、「連合国宣言」の中に組み込まれ、第二次世界大戦において「連合国」を指導する「戦後構想」となった。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン