饗宴外交の舞台裏 (47)

キムチが結ぶ日韓首脳の絆

執筆者:西川恵 2001年11月号
エリア: アジア

 小泉首相は十月十五日、韓国を日帰り訪問した。教科書、靖国問題、さらには北方四島沖のサンマ漁をめぐり、こじれきった日韓関係を軌道に戻すのが目的だったが、二十日から上海で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合を目前に控え、ギリギリのタイミングでの訪問となった。 APECでは韓国の金大中大統領と同席することになるため、その前に関係を正常化する必要があった。さもないと小泉首相は、初顔合わせとなる金大中大統領と、握手も話もできないということになり兼ねなかった。ただ両首脳の忙しい日程から、小泉首相が朝六時すぎに羽田空港を発ち、午後五時半には戻るという、ソウル滞在実質七時間の駆け足訪問になった。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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