株式会社になったはずなのに、公的性格をカサに「企業情報の独占化」に乗り出した東証。市場規制の担い手かつ一民間企業という矛盾は、ますます拡大しつつあるが……。 これまでは会員証券会社の集まりとして運営されてきた東京証券取引所が、十一月一日、株式会社に生まれ変わった。理事長には代々大蔵省の大物OBを迎え、証券行政を管掌する役所の手足として様々な市場規制を担ってきた東証だが、ここ数年、最も力を注いできたのは上場企業のディスクロージャー(情報開示)の徹底である。 つまり東証は事実上、証券取引等監視委員会の果たすべき役割を肩代わりしてきた。上場企業の情報開示の強化は不可欠だが、民間の一株式会社となった東証がそれを担いつづけると、おかしな事態も生じてくる……。
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