「国民意識」なき国家 アフガンの前途

執筆者:浅井信雄 2001年12月号
エリア: アジア

 ソ連軍の侵攻(一九七九年)から二十年以上、アフガニスタンは戦乱の時を刻み続けている。群雄割拠の内戦から天下をとったタリバンも、二〇〇一年十二月には一武装勢力に転落して、またも渾沌の時代に入った。 アフガニスタンとは「アフガン人の国」の意味だが、アフガン人の名がおそらく初めて登場する十世紀のペルシャ語の地理文献では、今日のアフガニスタンとパキスタンにまたがる山岳住民の呼称で、いまもその一帯を中心に分布する最大のパシュトゥン民族は同文献中のアフガン人と同じと見られる。 多くの諸勢力の抗争の結果、パシュトゥン居住地帯を分断する形で国境線が引かれ、彼らはアフガンとパキスタンの両国に分かれて定住、しかもパキスタンのパシュトゥン人口はアフガンのパシュトゥン人口よりも多いというねじれ方だ。そこからパキスタンとアフガンの特異な深い関係が生まれる。

カテゴリ: カルチャー
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