知られざるイスラム金融の世界

執筆者:立山良司 2001年12月号

 アッラーは商売をお許しになったが、利子は禁じられた(『コーラン』第二章)     * 最近「イスラム銀行」「イスラム金融」といった言葉を日本の新聞でもときどき目にする。イスラム世界ではこの十年ほどの間に「無利子金融」とも呼ばれるイスラム金融システムが急速に拡大した。現在、世界では約二百三十のイスラム金融機関が活動し、資産額の伸びは年率一〇―一五%といわれる。また、シティバンクなど非イスラムの銀行でも、「イスラミック・ウインドウズ」と呼ばれるイスラム口座を開設しているところがある。 反面、同時多発テロ事件の影響でイスラム金融への風当たりが強まっている。オサマ・ビン・ラディンと彼が率いる「アル・カイダ」が資金のやり取りで痕跡を残さないよう、イスラム世界特有の送金制度を利用しているとされたためだ。本来、不透明な資金の移動とイスラム金融制度とは直接関係していない。それでもバハレーンのイスラム銀行評議会は「イスラム銀行はテロの資金調達に関係していない」という“潔白声明”まで出している。 利子を前提とした経済・金融システムが当たり前になっている我々には、無利子銀行や無利子金融といわれてもなかなかピンとこない。だが、イスラム教は「リバー(利子)」を取ることを固く禁じている。利子が不労所得と見なされているからだ。イスラム教でも投資はもちろん認められている。この場合、出資者は利益だけでなく、損失も出資額に応じて分担しなければならず、リスクを負っている。このため不労所得ではない。しかし、利子の場合、借り事の事業の成否に関係ないため、不労所得となる。

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