エンロン破綻の背後に覗く米国市場の「死角」と「暗部」

2001年12月号
エリア: 北米

 ブッシュ政権誕生間もない二〇〇一年二月、米大手エネルギー会社エンロンはインド政府に対し、マハラシュトラ州電力公社に販売した電力料金の未払い分七億九千万ルピー(二十億七千万円)を支払うよう請求した。九二年に同国のエネルギー開発事業に参加。その後ロシア、ブラジル、英国、韓国などの公益事業を中心に巨額のカネを注ぎ込んでいったエンロンは、今にして思えば、すでにその拡大戦略に破綻を来し始めていたのだろうか。 ただ、この時点では八カ月後の危機を予想する者はほとんどいなかった。むしろ、大統領選中からブッシュ陣営に多額の献金をした同社は新政権下で順風満帆にみえた。二月にジェフリー・スキリング氏に社長の座を譲ったケネス・レイ会長は一時、財務長官への就任も噂されていた。 しかし米国市場から楽観論が消えてゆくのと軌を一にして、エンロン周辺にも暗雲が漂いはじめる。四月には通信部門の業績悪化見通しから株価が急落。五月にはブラジルで予定していた火力発電所の建設計画を中止、中東での天然ガス供給事業からも撤退を発表した。八月には就任半年のスキリング社長が突然辞任、レイ会長が社長に復帰した。前月に発表した四―六月期決算で売上高は前年同期の三倍弱、純利益は四割増と好調な数字を残していたにもかかわらずである。

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