【ブックハンティング】

執筆者:三田村冽 2002年1月号
カテゴリ: 書評

 アフリカの大地に沈む太陽を見た者は、明日を約束するかのような、その存在感に圧倒されるという。 山崎豊子『沈まぬ太陽』(アフリカ篇・御果鷹山篇・会長室篇 全五巻)の文庫化がなった。単行本は累計二百万部を超えるベスト・セラーとなったが、文庫も発売一カ月で一気に累計百二十五万部を超えた。新たな読者を増やしているのは、主人公の生き方が、現代日本を鮮やかに照射しているからだろう。 昨年末、失業率は五・五%に達した。数字だけでは伝わって来ない企業の中での組織と人間の軋み――。 日本経済がさらに不況の色を濃くする中、「コスト・カッター」が称賛され、企業の論理が個人の人生を大きく揺さぶっている。悲観論と諦観ばかりが漂っているとさえ見える。

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