饗宴外交の舞台裏
饗宴外交の舞台裏(49)

EU首脳晩餐会で見せた議長国ベルギーの気遣い

西川恵
執筆者:西川恵 2002年1月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ

 昨年の十二月十四、十五の両日、ブリュッセルのラーケン宮で欧州連合(EU)首脳会議が開かれた。初日、議長国のベルギーが主催する晩餐会がもたれたのだが、そのメニューが実に面白い。 〈料理〉 白ビールを使ったウナギ風味のポタージュ、海老とクレソン添え ホウレンソウを詰めたホタテ、ワイン・ビネガーで シカの股肉の木の実添え、マスタードと ブリュッセルのワッフル 〈飲み物〉 シャンパン ボランジェ・マグナム ジャン・ルイ・グリッパ95年(仏) キャンティ・クラシコ98年(伊) ノーブル・レゼルヴ81年(墺) 私の手元にメニューがあるが、ベルギーの四方八方への気遣いが滲み出ている。まずメニュー表記はオランダ語、フランス語、ドイツ語、英語の四カ国語。EUの公式言語でないオランダ語でも表記したのは、ベルギー北半分のオランダ語圏のフラマン系住民に対する配慮からである。 ワインも一カ国だけで固めず、フランス、イタリア、オーストリア産を配した。スペイン産ワインを出さなかったのは、今年一月からスペインが議長国となるから、との判断だろうか。フランスの白ワインは南のコート・デュ・ローヌ地方、オーストリア産の貴腐ワインはデザートに合わせた。

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執筆者プロフィール
西川恵
西川恵 毎日新聞客員編集委員。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、論説委員を経て、今年3月まで専門編集委員。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、本誌連載から生れた『ワインと外交』(新潮新書)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。本誌連載に加筆した最新刊『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)が発売中。
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