インテリジェンス・ナウ
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ラディン“自供”ビデオに秘められた「ある工作」

春名幹男
執筆者:春名幹男 2002年1月号
カテゴリ: 国際

 事件捜査で、犯人にあてはまるような人物像を絞り込んでいく作業を「プロファイリング」という。同じ言葉が情報工作の世界でも使われる。例えば、スパイとしてリクルートしやすい人物のプロファイリングとして「アル中」「麻薬常習」「女性好き」といった性向が挙げられたりする。 昨年十二月十三日、米国防総省が公表したオサマ・ビン・ラディンのビデオに映っているアリ・サイード・アル・ガムディという人物をめぐって、ひそかに情報の世界でプロファイリング論争が起きているようだ。英オブザーバー紙はガムディ師を、まさにスパイにはうってつけの「古典的なプロファイル」の人物だと伝えている。 ビデオ画面でラディンに向かって右側、腰から下に布を掛けて座っているのがガムディ師だ。訛からみてサウジアラビア南西部のヘジャズあるいはアシール州出身。米中枢同時テロの犯人十九人のうち十五人のサウジ人の多くが原理主義者の多いこの地域出身だ。 サウジアラビア・メッカにあるウム・アル・クラー神学校の元助教授で、各地で激しい反欧米の説教を繰り返し、一九九四年、サウジ当局から公共の場での説教停止を命じられた。しかしそれ以後も、ジッダから聖地メッカに向かう道路沿いにある小さなモスクで数人の信者を相手にした“アジ説教”を繰り返してきたといわれる。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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